1.5 スペクトラム拡散





 2次変調のCDMA方式(W−CDMA)では、スペクトラム拡散という拡散
方式が用いられます。スペクトラム拡散とは、携帯電話の信号にキーの系列(疑似
ランダム系列)を乗積して周波数帯に信号を流して、受信側ではその拡散された
信号にもう一度キー系列を乗積することで逆拡散して元の信号に戻して、通信を
行う方法です。

スペクトラム拡散


 上記の図でデジタル信号(一番上)に符号系列(真中)を乗積することによっ
て、スペクトル拡散後の系列(一番下)を得ます。これが、拡散です。逆拡散は
スペクトラム拡散後の系列に符号系列を乗積することで、デジタル信号に戻すこと
ができます。

 この時、大切なのは符号系列が周期が長く、相関の低い系列であることです。
多重化の性能で、周期が長いと多くの人が同時に通話をすることができるように
なります。
 逆拡散で雑音や他者の通話信号を除去できるのは、相関が低いからです。理想
的には、周期だけずれた系列との相関が周期と同じで、その他のずれでは、相関
が0に近いほど他の信号をきれいに除去でき、きれいな通話を実現できます。


 そのため、周期が長く、相関値が低い疑似ランダム系列を作ることが多重化の
CDMAや次世代のW−CDMAの性能をより良いものにすることにつながりま
す。