この日の朝日新聞の夕刊(他紙では翌日朝刊)で週刊誌の広告記事を見たのが最初でした。美代ちゃんの思い出は、人それぞれの心の中にあるものだと思います。ですからこれは一つのサンプルに過ぎませんが、忘れえぬ記憶としてこの日を記しておきます。
あのつらく悩ましい日々の始まり。精神的に未熟な頃に体験した、恥ずかしく独りよがりな遠い昔の思い出です。
しかし振り返ってみれば、美代ちゃんの考え方や態度、大げさにいえば人生観のようなものに共鳴するところがあったからこそ、あんなにも夢中になり、心配し、また年月が経った今でも、あの頃の美代ちゃんをいとおしく思い出せるのではないかと思うのです。
美代ちゃんが表された「杏ジャムからの便り」の中に、次ような一節があることを、長くはなりますが付記します。
「何故人の私生活の面を、ああだこうだと書くのでしょうか。よくタレントは公共のものと言われます。それに対してすごく頭に来るのです。テレビの中にいる間はそうだとしても、町を歩いている時、ひとり部屋にいる時までもそうだとは思えない。人間なのですから。だから他人が私のことでも、すべてを知っているということは、人間としておかしいのです。週刊誌なんて1のことを10、100くらいに書くのです。そしてそれを読む人は、何も知らないわけだからその活字を信じるのでしょう。でも、誰でも仕事をしているように、その週刊誌の人たちもそれが仕事なのだから、みんなと同じように仕事を一生懸命しているのに変わりないのです。だから誰も責められないと思うのです。」