1976年(昭和51年)4月2日(金) 放送
われは海の子 第1回 勇気
愛子の弟・信一が文房具店のショーケースをこわして逃げようとしていた。そこへたまたま通りがかった健太郎が信一を捕えるが、どうやら万引きに間違えられたらしい。信一を不憫に思った健太郎はショーケースの代金を払ってやる。だが、万願寺に下宿している商船大学院生だと事情を聞いた姉の愛子は、相手を訪ね、"同情は受けない"と代金の一万五千円を差し出す。健太郎は、"別に返してもらおうと思ってやったことじゃないから"と受け取ろうとしない。愛子は、"あなたに恵んでいただく理由はないわ"と金を突き返す。健太郎の善意は却って兄妹を傷つけることになってしまった。健太郎は万願寺の和尚・朴念に話すが、自分で起した問題は自分で収拾しろと説教される。
一方、信一の母・厚子は、信一がとった行動の是非を正す。だが、信一は、母の言葉を素直には受け入れられずに落ち込んでしまう。そんなある日、信一と愛子が暴走族グループに絡まれているのを、健太郎が見つける・・・。
この番組は、お互いに一般公募で芸能界に入った森田健作さんと美代ちゃんが、円熟域に達し共演するということで、注目されていました。
森田健作さんは久しぶりに得意の剣道が生かせると大張りきり。愛用の竹刀を持ちこんでの撮影だったそうです。
美代ちゃんは、上品なお嬢さんの役や小悪魔的な役にも挑戦してみたいと考えておられたようですが、撮影開始にあたっては、結局、お手伝いさんや貧乏人のような役が多いんですと、苦笑いでした。
ドラマは、この二人が育んでこられたイメージを踏襲しながら展開していきます。
美代ちゃんの弟役で、当時中学2年生だった梶正昭さんは、大変有名なこの二人との共演に、最初は恥ずかしがっておられましたが、次第に打ち解け、美代ちゃんを「お姉さん」と呼んで慕ったそうです。
このドラマでの姿が、70年代、美代ちゃんの最後のものになろうとは、その時思ってはいませんでした。