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こころとストレスと病気
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 人間の一生は、生を受けて初めに両親との人間関係(親子関係)をもち、幼稚
園、小・中・高校、大学さらに社会人として会社やその他の仕事に従事し、結婚、出
産、育児、養育、死と、いやでも人間関係(コミニュケーション)を持ち続けて生活し
てゆかなくてはいけません。
 この一生の中には、様々な人間関係(自分以外の者、つまり両親・子供・友人・
恋人・周りの人)において無意識の場合や、意識的な場合に気を使います。そして、
これが本来の人間のあるべき姿だろうと思います。
 つまり、人は人間関係を欲しています。また、それなしではむしろストレスとなり
ます。人間関係は難しい、苦痛だといいながらも人間関係を切り、そこから抜け出せ
たらストレスのない平穏な生活が待っているわけではありません。人は人間関係を
欲しており、その質が問題です。しかし、皮肉にも誰もが人間関係を求めているにも
かかわらず、誰もが人間関係を苦痛に感じ、大きなストレスとなっていることも事実
です。






















 ストレスそのものは悪くありません。要はそのストレスに対する適応力があるかどうかです。
 アメリカの心理学者が、 ストレス(刺激)がまったくない部屋で過ごすと、人間はどうなるかを調べました。
体温調節機能の低下 気温の変化に合わせ、汗を出したり鳥肌を立てたりして体温を調節する働きが、にぶくなる。
暗示にかかりやすくなる 何か指示されると、間違った指示であろうとそれに従い、「もう立っていられない」と言われると、言葉通りに足の力が抜けてしまう。
幻覚・妄想 刺激(ストレス)から隔離してマインドコントロールし、社会的に問題になった例も 多い。つまり、体と心のバランスを保つためには、適度なストレスが必要となる。



ストレスという言葉の定義は,「外界(外)からのあらゆる要求に対する
生体の非特異的な反応」となっている。
その反応を引き起こした刺激をストレッサーと呼ぶ。

ストレッサーとしては次のようなものがある。
     
物理的ストレス 温度や気圧の変化、騒音、手術や外傷など
化学的ストレス アルコール、薬物など
生物学的ストレス 細菌やウイルスなどの微生物
心理的ストレス 不安や緊張などの情動変化によるもの


ストレスが体に与える影響

  大きく分けるとふたつあり、緊急反応と慢性反応があります。緊急反応は交感神経
の反応と言われ、要するに戦闘状態にからだがなります。外からの刺激に身構えて対
抗しようとするのです。
  外部環境(ストレッサー)が変化しても、内部環境は一定に保たれている状態をホメ
オスターシス(恒常性)と呼びます。ホメオスターシスがストレスによって乱されたとき
の生体の反応を緊急反応と言います。この状態になると、交感神経が刺激され、内分
泌系も刺激され、免疫機能にも影響を与えます。
  症状としては脈拍の増加、発汗、呼吸が速くなる、血糖値の上昇などです。
アドレナリンやノルアドレナリンがたくさん出てます。これは病気と言ったものではなく、
生体の反応ととらえる方がいいでしょう。

  ストレスに対して十分に対応しきれなかった場合、ホメオスターシスがこわれ、慢性
的なストレスによる ストレス病として発症します。身体症状として起こるものがいわゆ
る 心身症と言われるものです。
  代表的なものとして, 下のストレス関連疾患を参考に胃潰瘍、過敏性大腸炎、過換
気症候群、摂食障害、緊張性頭痛、じんましん、低血圧、自律神経失調症などです。
心身症を起こしやすい性格として、自分の感情の認知と表現ができにくいひと(失感情
言語化症候群)、いろいろな心身症状を抱えながらも相手に併せすぎてしまう(過剰適
応)があります。
  一方精神面で異常が出現すれば、うつ病や神経症となります。個人の遺伝素因や
性格、生活環境などのよって現れ方が違ってきます。


ストレス関連疾患 
    
1 胃かいようおよび十二指腸かいよう 17 けい肩腕症候群
2 かいよう性大腸炎 18 原発性緑内障
3 過敏性大腸 19 メニエール症候群
4 神経性おう吐 20 円形脱毛症
5 本態性高血圧症 21 インポテンツ
6 神経性狭心症 22 更年期障害
7 過呼吸症候群 23 心臓神経症
8 気管支ぜんそく 24 胃腸神経症
9 甲状せん機能こう進症 25 ぼうこう神経症
10 神経性食欲不振症 26 神経症
11 偏頭痛 27 不眠症
12 筋緊張性頭痛 28 自律神経失調症
13 書けい 29 神経症的抑うつ状態
14 けい性斜けい 30 反応性うつ病
15 関節リウマチ 31 その他(神経性○○病と診断されたもの)
16 腰痛症


心 と 脳
 過去、PTSD、不安神経症、パニック症候群など勉強してきた。頭がおかしい、心の弱い人などという言葉で済まされないように思われる。しかし、これら心の変調は意識から、脳の中からか来るのだろうか。脳と心はどのような関係だろうか。

不安の伝達は先ずネズミがストレス(電気ショック)を感じる所から始まる。ネズミの感覚器は速やかにメッセージを脳の中央部分に送る。そこでは2つの神経通路を経由して情報処理される。その1つの経路は長く曲がりくねっている経路であり、脳が正確に情報を処理する経路である。もう一方の経路は緊急の短絡経路でアーモンドの形をした扁桃体に直接メッセージが送られる。扁桃体の特徴は体のどの組織へも緊急信号を送り、極悪人のように激しく襲いかかるか、脱兎の如く逃げ出す反応を作り出す。
 この反応は正確さを追及したものでなくただ早いだけである。例えばピクニックに行ったとしよう。野道で蛇を発見してはっとしたがそれは単に棒であった場合は扁桃体の為せる業である。ニューヨーク大学の神経学者であるジョセフ・レドークス氏は扁桃体を恐怖の中心と言う。
 扁桃体は緊急信号を身体の各部に送ると同時に、扁桃体の横にある海馬にも信号を送る。海馬の役割は脳が学習したり、新しい記憶を作成する時それを助ける役割をする。ネズミの場合では電気ショックを受けた時の場所と状況を記憶させる役割をする。状況の学習はネズミのような動物でも再度ショックを受けないようにその場所を避けるのに有効である。同時にどの場所なら安全かを知るにも役立つだろう
 この時点ではもう一方の経路を経たメッセージは脳皮質に到達していて、皮質は危険が今存在していて痛みを感じていると認識する。ショックが消えると前頭葉と呼ばれる脳の前部にある脳皮質がオールクリアーメッセージを発する。即ち警報解除の信号であり、扁桃体に向けて警戒態勢解除のシグナルを発する。いや、正確には発しているはずであるが警戒態勢を敷くよりそれを解除する方が難しいようでこれが神経症の原因になっていると考えられる。でも生存の為にはそのほうが都合が良く、危機にあって安心しきっているより過剰にパニックになっていた方が安全である。
 この神経回路の発見が不安の発生メカニックを理解する鍵となった。この回路理論から行くと不安は必ずしも外部要因により引き起こされるものでは無くて、むしろ警戒解除の信号を出す部分のメカニズムに異状が起きていると考えられる。丁度車が暴走して止まらなくなる時、アクセルが踏み込まれたままになっているか、あるいはブレーキが故障しているか原因が2つあるように、神経症でも脳のどの部分に問題があるか指摘するのは容易でない。神経症でもアクセルの役割をする扁桃体が過剰反応しているタイプとブレーキの役割をする前頭葉が充分作動していないタイプに分かれるであろう。

セロトニン
 セロトニンを神経の末端から放出する神経細胞の集まりは、脳幹の真中あたりにあり、丁度左右の脳幹をつなぎ合わせるように位置している。そこから突起(軸索)を伸ばして、その先は脳全体に行き渡っていることが分かった。この部分は、ギリシャ語の「縫い目」にある核という意味で、縫線核と名づけられている。
セロトニンの役割
 自殺者の脳を調べると、セロトニンが少ないという報告がなされた。さらに、セロトニンの受容体のうちでうつ病に関係するとされる2型の受容体が自殺者の脳に多く、精神の安定に関係するという1型の受容体は自殺者の脳に少ないという報告もなされた
 ドーパミンの量が増えれば人は快感を感じ元気になる。その後の研究でノルアドレナリン神経を刺激すると、動物はやはり喜びを感じること、それも何か楽しいことを予感できるという、報酬に対する喜びを感じるらしいことが分かってきた。
 われわれは皮膚を刺激すると痛みを感じる。この時には皮膚からの痛覚の神経刺激が脊髄に入り、脳内の視床から大脳の体性感覚野に到達する。痛みそのものはそこで感じるが、その刺激がさらに辺縁系に伝えられ、不快などの感情を生むのである。もし辺縁系がこれを不快と感じなければ、痛みそれ自体はそれほどの苦痛ではない。同じように不安もそれが意識というレベルでどのように処理され、最終的な感情になるのかが問題である。セロトニンはまさにこの最後の情報処理に関係しているのではないだろうか。
 最近、日本でもSSRIの研究が進み、発売されているSSRIはフルボキサミンで「ルボックス」「デプロメール」という商品名で販売されている。
しかし、うつ病の治療に心理療法が効果があることも確かめられている。そうなると、心理的な影響が脳の物質にどのような影響を与えるのか、物質が心に影響を与えるように、心はどのように物質に影響を与えるのかという問題がある。
このように心の問題は一つが解決されるように見えると、さらに複雑なより大きな問題に直面する。
脳の仕組みが解明されると心の働きはわかるのだろうか。脳の解明は心の解明の一幕にすぎないのかもしれない。

 薬での治療が主流のように見える今日、カウンセリングや心理療法などでも治療効果がある。また、鍼灸治療による効果も見逃せないと思う。特に東洋医学研究所の黒野保三先生はうつ病患者はもとより、神経症や自律神経失調症、不定愁訴症候群など様々な患者に対して素晴らしい効果を発揮されている。上記、「脳の仕組みが解明されると心の働きはわかるのだろうか。」という言葉は非常に重みのある言葉だと思う。そして、治療を行う人間性が相手の心を打ち、鍼治療を行った結果、何かが脳内のセロトニン等脳内の物質に影響を及ぼし、効果をあげるのではないか。

健康と気象
 

1.うつ病
 過度のストレス・困難が続いた場合、うつの状態から立ち直れなくなり(感情の沈滞)、
もう何も考えたくない(思考の渋滞)、何もしたくない(意欲の低下)の様な状態が2週
間も続くと日常生活もままならないはずです。このような正常心理から大きく逸脱して
しまった状態を一般的にうつ病と呼びます。
 このような精神症状の他に身体症状として、睡眠障害・食欲不振・体調不良などがあります。

うつ病の症状

うつ病の症状には、精神症状と身体症状があります。
精神的な症状と共に必ずと言っていいほど身体の症状を伴うものです。

(1)精神症状
抑うつ状態  気持ちの沈んだ状態。これはその人の社会的、文化的背景に左右されることが多く、表
面上ではわからないこともあります。
しかし、程度が強くなると言葉では言わなくても、顔つきや姿勢、話し声、ささいないことで涙を流すなど
の態度や様子であらわれるようになります。楽しいというような感情が失われている状態です。

抑うつ思考  うつな気分になると誰でも同じようなことを考えて悩むものです。
「自分はつまらない、駄目だ、物事が上手くいかないのは自分のせいだ」と言って自分を責めます(自責
念慮)。自分が「大きな過ちを犯した」と考え、みんなに謝らなければならないと考え込みます。自分に全
然罪のないことでもそうやって自分を追いつめてしまいます。

自殺念慮  抑うつ的な気分が続くと生きていることが苦痛になったり、早くこの世から消えてしまいたい
と死を望むことが起こります(自殺念慮)。うつ病の9割以上の患者さんに見られます。

このような症状は一日のうちでも波があり、たいていは朝が一番悪く、午後になるとよくなっていきます。

(2)身体症状
仮面うつ病  寝つきが悪い、夜中に目が覚める、食欲の低下、胃腸の調子が悪いなどです。活動エネ
ルギーが喪失していき次第に何にも関心が行かなくなります。
このように身体症状が先立ち「抑うつ気分」などの精神症状が目立たないうつ病を「仮面うつ病」と言い
ます。

睡眠障害
  睡眠障害には「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」などがあります。

消化器症状
この他には、肩こり・頭痛などの疼痛、性欲減退・生理不順などの生殖器症状もみられます。

また近いうちに・・・
 





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