二十一くんのつぶやき #3

世の中には、運命の出会いという物がある。

さて、困った姉上、リセットであるが、たまに、良いこともする。
今日、俺に女の子を紹介してくれたのである。
何でも、町中で泥棒に鞄を盗まれていたところを助けたとのことである。
乱暴者の姉上のことである。
おそらく、その泥棒は生きてはいまい。
思わず、手を合わせてしまう。
まあ、どのみち、親父の作った法律では、男はどんなささやかな犯罪でも死刑であるから、結果は一緒であるが。

話を戻そう。
その女の子。
名前は、シャルロット・バランチョさんという。
ピンク色の髪の毛、ちょっとたれ目がちの瞳──容姿の整った、それだけじゃなくて、いわゆる癒し系の女の子である。
何でも、シャルロットさんは小さな小さな国、バランチョ王国のお姫様であったらしい。
バランチョ王国がどれくらい小さいかと言えば、親父の大陸統一の時、気付かれずに無視されたくらい、小さくてマイナーな国であるらしい。
その後も、地理的にも、軍事的にも、経済的にも問題ではなかったため、大リーザスには無視されて、平和に独立していた。
しかし、ここ二年ほど、凶作が続き、どうにもならなくなってしまった。
その為、大リーザスに従属する代わりに、食料その他の援助を求めたとのこと。
ここにバランチョ王国は消滅して、大リーザス、バランチョの街となった。

そこで、シャルロットさんである。
平たく言えば、彼女の立場は人質という物である。
従属し、援助を受ける、代わりに、王族の娘であるシャルロットさんの身柄を、リーザスが押さえる。
まあ珍しくもないことである。

「よろしくお願いします。二十一様」
シャルロットさんが、頭を下げて、俺に挨拶する。
俺は、思わず喜びの涙を流しそうになったね。
これこそ、お姫様。
そんな感じの仕草である。
上品でおしとやか、素晴らしい。
何しろ、身近なお姫様、姉上は……
「二十一、何か、失礼なこと考えてない?」
いえいえ、滅相もありませんよ、姉上様。
ふう。
流石に耳がでかいだけあって、カラーの聴力は優れているみたいだ。
気を付けなくては。
「人質、と言っても、リーザス女子士官学校に入学して、勉強する、まあ、留学みたいな物ね」
姉上が、シャルロットさんの立場を説明してくれる。
なるほど、なるほど。
困ったことがありましたら、この山本二十一にご用命を。
「よろしくお願いします」
勿論、お願いされます。
はっはっはっは、良し、グッドだ。
「なんだか、二十一、舞い上がっていない?」
そんなことはありませんよ、姉上。
俺は、紳士ですから。
「紳士、ねえ……」
何ですか、姉上、文句があるのですか。
「べっつに。いいけど」
とか言いながら、姉上は、俺を不安にさせるような、意地悪な笑い方をした。

続く

[BACK] [INDEX] [NEXT]