二十一くんのつぶやき #5
俺に残された時間は2年間である。
いや、もっと短いかも知れない。
確か、親父の守備範囲の下限は14才。
それを考えると、残された時間は、約半年か。
とにかく、時間がないのである。
「ランス様も、もう少し手加減すればいいのに」
俺は、シィルさんにヒーリングの魔法をかけて貰っていた。
糞、親父の奴、息子にここまでするか?
親父に天誅とばかりに襲いかかった俺である。
しかし、結果は惜敗である。
「あ〜あ。パーパに二十一が勝てる分けないのに。こてんぱんにやられちゃって」
姉上……
「こういうのを、惨敗とか、言うのかしら」
姉上、これは惜敗と言うのです。
く、親父が魔王であることを忘れていた。
ただの人間の俺では、いかに頑張ったところで、親父を倒すことは不可能なのである。
それを、すっかり忘れていた。
糞、人間同士だったら、俺が勝っていたのに……
「よわよわだな。二十一」
く、親父、何しにきやがった。
「お前、シャルロットちゃんのことが、好きなのか?」
いや、その、何だ。
つまり、その……
「見え見えね」
姉上、そのにひひ笑いは何ですか。
「何だ、そうだったのか。それを早く言え」
って、父上?
もしかして、そうならハーレムに入れるのを止めてくれるとか……
「がははははははははははは」
その笑いは、やはり……
「羨ましいだろう」
……
この、糞親父!
「お? まだやる気か?」
やらいでか!
……
俺は、再び、シィルさんにヒーリングの魔法を受けている。
くっそ〜〜。
「あの、二十一さん、無茶はしない方が……」
何を言うのですか、シィルさん!
男には、闘わねばならないときがあるのです。
闘って倒さねばならぬ相手がいるのです。
それが、今であり、あいつなのです。
……とは言え。
相手は、腐っても、腐りきっていても魔王である。
このままでは勝ち目がない。
剣の腕前に関しては、互角、そう、互角だ。
ならば、魔王を傷つける方法を手に入れればいい。
魔王を傷つける……
にやり。
親父、待っていろ!
次の俺は、ちょっと違うぞ!
「止めた方がいいんじゃないの? はっきり言って、二十一じゃパーパには勝てないよ」
何を言うのですか、姉上。
あの、互角の勝負を見ていなかったのですか?
「アレが互角だったら、象を相手にして、ただ踏みつぶされただけの蟻だって、互角に戦ったことになるわよ」
……姉上は、所詮戦士ではありません。
だから、わからないのです。
アレは、互角の勝負なのです。
だいたい、俺は、リーザスでも5指に入る戦士ですよ。
親父に引けを取るわけが無いじゃないですか。
「どこで、そう言う具合に思うようになったのかしら」
何しろ、俺はリーザス最強の戦士であるリック将軍以外に負けたことはありませんからね。
「……他の人と闘ったこと、ある?」
何を言うのですか。
最強の戦士と闘えば、それで充分でしょう。
「……まあ、いいけど」
はっはっはっは、待っていろよ、親父!
次に俺が戦いを挑むとき、それがお前の最後の時だ!
首を洗って待っていろ!
続く
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