二十一くんのつぶやき #10
俺にはグレイトな親父がいる。
何、言っていることが180度違うって?
何を言っているんだい。
俺は、最初から親父を尊敬していたよ。
あいつは、素晴らしい王様だ。
最強の戦士だ。
全人類の救世主だ。
ルドラサウムは、退治された。
親父の手で。
勿論、俺も大活躍をした。
俺の与えた、あの傷がなければ、流石の親父と言えども、勝ち目はなかっただろう。
ん? 何?
お前の与えた傷は、ただのかすり傷だろう、だと?
貴様、切腹したいのか?
したいんだな?
何? 俺の大活躍で、ルドラサウムは倒せただと?
ほら見ろ、そうだろうが。
よし、グッドだ。
まあ、それでも、親父には敵わなかった。
本当に、あいつは凄い奴だ。
ルドラサウムを倒し、世界は平和になった。
祝勝会、どんちゃん騒ぎが三日三晩続き、そして。
親父の奴、シィルさんを連れてまた出奔してしまいやがった。
まあ、前例があることである。
だから、誰も慌てなかった。
どうせ、路銀がつきたら戻ってくるだろう。
その程度に思われている。
俺も、そう思う。
しかし、である。
くくくくくくく。
ナイスだ、親父!
これで、シャルロットさんは、晴れて自由の身。
しかも、年齢的に親父の守備範囲にはいる前だったから──あ〜っはっはっはっは、よし、グッドだ。
鬼の居ぬ間に、この隙に……
あ〜っはっはっはっはっは〜。
「どうしたんですか、二十一さん、大笑いして」
こ、これはこれは、シャルロットさん、ちょうど良いところで。
「二十一さん、私に何かご用ですか」
はい、ものすごく、重要なお話が。
「奇遇ですねえ。私も、二十一さんに、報告があったんですよ」
報告ですか?
何でしょうか?
「どうぞ、二十一さんの方から」
いえ、ここはレディ・ファーストで。
「そうですか? じゃあ、私から」
俺は、シャルロットさんに見ほれていた。
何というのか、ますます綺麗になったような。
柔らかい癒し系の微笑み。
魅了されたと言っていいだろう。
「あの、二十一さん、……がいいですか?」
シャルロットさんは、嬉しそうに笑いながら、言った。
いとおしそうに、お腹のあたりを撫でている。
そう言う仕草が、また、可愛らしい。
──って?
済みません、もう一度。
「あの、弟と妹、どちらが良いですか?」
にこにこ笑いながら、シャルロットさんが尋ねてきた。
「って言っても、これは、自分で決められるようなことじゃないですけど……アレ、二十一さん、どうしました?」
……
…………
………………
なんですと〜〜?
俺には、鬼畜で非道な親父がいる……
いつか、倒してやる!
絶対に!
終わり
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