その二「浦島ランス」
昔、昔あるところに、浦島ランスという漁師がいました。
ある時、ランスが海岸を歩いていると、子供達が騒いでいるのに出会いました。
「やーい、やーい」
「かなみのくせに、生意気だぞ」
「わーい」
なにやら、非常ににぎやかです。
ランスは、何事かと、そちらに近づきます。
すると、そこでは見当かなみ、いや、亀がいじめられていました。
「むっか〜、貴様ら、何をしている!」
ランスは、持っていた魔剣カオス、もとい、釣り竿を振り回して、子供達を追っ払おうとしました。
「ま、待ってよ! この場合、お金を渡して亀を助けるのが筋ってもんだよ!」
子供が、慌てて文句を言います。
「うるさい、ランスアターック!」
しかし、ランスはそんな言葉には耳をかしません。
子供相手に大人げない、なんて言葉もランスにはありません。
見事、子供は殲滅され、かなみは救出されました。
「あ、ありがとうございます」
かなみは、ちょっとびっくりしながらお礼を言いました。
ランスに助けて貰う。
そんなことが起こりうるとは、想像だにしていなかった、そういう顔です。
ランスは、胸を張って言いました。
「かなみをいじめて良いのは、俺様だけだ!」
「え? ちょっと!」
「がははははははははははは」
「ちょ、ちょっと待ってよ! あ、どこ触っているのよ!」
「がはははははははは」
……
…………
「助けていただいて、ありがとうございました」
それから、一時間弱の時間が経ってから、かなみはいそいそと着衣を整え、それからランスにお礼を言いました。
何故、お礼を言わなくちゃならないのか、ちょっと、いや、かなり釈然としない顔です。
「おう!」
しかし、ランスは、堂々と応じました。
「俺様に感謝しろよ!」
かなみが俺様に感謝するのは当然。
そう言う態度で、疑問など、欠片も持っていません。
「う……」
やっぱり、釈然としない。
そんな顔をしつつ、かなみは改めてお礼を言いました。
「助けて貰った感謝のしるしに、リーザス城、もとい、竜宮城へご案内します」
「竜宮城?」
「はい」
かなみは、勢い込んで言いました。
しかし──
「やだ」
ランスは、一言で否定しました。
「え? どうして?」
「ふん、どうせ、乙姫はリアだろう」
「な、何故それを」
かなみは狼狽えました。
「やっぱりか。──俺様は、絶対にいかんぞ!」
「そ、そんな」
「マリスやすずめちゃんの盆踊り、もとい、鯛やヒラメの舞い踊りは惜しいが、リアにあうと、ろくな事がないからな」
「そんなこと言わないで!」
必死になるかなみ。
ランスを竜宮城に連れていく。
それが、今回かなみに下された任務です。
そうなのです。
先刻の子供達にいじめられていたのは、実はやらせだったのです。
ランスが自分を助けるかどうかは非常に疑わしかったのですが、予想外に上手くいき、さて、これからが本題という場面でこの答えは困ってしまいます
「ランスが来てくれないと、困るのよ!」
「困る?」
「そう、困るの!」
「かなみが困るのは、いつものことだ。うむ、グッドだ」
ランスは、きっぱりと言いました。
「がははははははははははははははは」
そして、大笑いをしながら、立ち去ってしまいました。
「そ、そんな〜〜!」
かなみの悲しい悲鳴が、海岸に響き渡りました。
任務失敗、どころか、やられ損でした。
その後、リーザス城、もとい、竜宮城にて。
「かなみ〜! どうして、ダーリンを連れてこないのよ!」
乙姫様、リア王妃がかなみを前に、ぷんぷん怒っていました。
「済みません、リア様」
平謝りするかなみですが、リア王妃は許してくれません。
「済みませんじゃないわよ! かなみばっかりダーリンにかわいがって貰って!」
「アレは、かわいがるというのでは……」
「とにかく、お仕置きね」
「え?」
「かなみ、SM塔に行くわよ」
「え? そんな……」
かなみは、周囲に助けを求めました。
しかし、そこにいた誰も、助けてくれません。
「だ、誰か私に優しくしてよ〜!」
かなみの悲痛な叫びが、お城に響き渡りました。
めでたし、めでたし。
今回の教訓
「かなみは、やっぱり不幸でなくっちゃ!」
あとがき
なんだか、非常に短い。
二十一くんのつぶやき直後に書いたせいか……
まあ、適当シリーズだし、良いか。
適当でないお話を書いたことがあるのかどうかは、棚に上げておいて。
ぬるい目で見守ってください。
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