AL戦隊ゴセイジャー
♪もしも、ALが弱ければ、
リーザス、たちまち、攻めてくる。
家は焼け、男は、皆殺し。
美女はハーレム、送りだろう♪
「がはははははは。俺様の物は、俺様の物。民の物も、勿論俺様の物だ〜!」
レッドの街に馬鹿笑いと、住民の悲鳴が響き渡る。
馬鹿笑いをしているのは、リーザス鬼畜王国の鬼畜大王ランスである。
盗賊から身を起こし、リーザス女王リアを誘惑して王の座に着いたランスは、世界を悪の鬼畜王国に
変えるため、様々な悪事を働いている。
今回、ランスのターゲットとなったのは、レッドの街だ。
レッドの街では今まさに、臨時徴収の名を借りた略奪が行われている。
美女はハーレムもしくは特別室送り、その他は、天国もしくは強制収容所送りだ。
さらに、金品食料を根こそぎ奪い去り、鬼畜王国による世界征服の軍資金とする。
今回は基本的な略奪の他にも、この街の神官セル・カーチゴルフが封印したランスの愛剣、邪悪なる
魔剣カオス奪還も目的の一つである。
鬼に金棒ならぬ、鬼畜大王に魔剣。
これにより、更なるランスの強化がなされるだろう。
「がはははははは。セルさん。俺様に逆らっても無駄だ。非道い目に遭わないうちに、早いところカオ
スを差し出せ!」
「駄目です」
下っ端兵士どもに両側から押さえられ、ランスの前に連行されてきた神官セル。
ランスが笑いながら要求をするが、神官セルは、気丈にも断る。
「なんだと〜!」
ランスが、セルの言葉に激昂する。
「そう言うことを言うと、無理矢理だぞ!」
「なんと言われても、カオスを渡すわけには行きません!」
「むっか〜! そんな奴は、こうしてやる」
「きゃ〜!」
哀れ、花は無惨にもつみ取られ、踏みにじられる。
そして――
「がははははははは。久しぶりだな、カオス」
「お前さんも、相変わらず元気じゃな」
「当たり前だ。がはははははは」
セルの抵抗も虚しく、カオスはランスの手に渡ってしまう。
再会を喜び合う鬼畜大王ランスと邪悪なる魔剣カオス。
これにより、+10ポイントも攻撃力を強化されたランスは、更なる暴虐の限りを尽くすだろう。
もはや、民に、救いはないのか?
いや、ある!
それは――
「待て!」
ランスに、上の方から声がかかる。
「む? この声は?」
慌て、周囲を探すランス。
「どこを見ている。ここだ」
「屋根の上か?」
見ると、屋根の上に、仮面を付けた5人の男が立っている。
長いローブに身を包み、聖なる雰囲気を周囲に発散している。
何故、屋根の上に立っているのか?
疑問を抱いてはいけない。
そう言うモノなのだと、理解するように。
決して、何とかは高い場所が好きというわけではないのだ。
「我々が来た以上、貴様の悪行もここまでだ」
中央に立った男が、代表して口を開く。
赤い仮面を付けて、びろびろのローブを着込んだ男だ。
他の者も、同じ格好で、それぞれ違った色の仮面を付けている。
「むっか〜! またもや俺様の邪魔をしにきやがったか」
ランスは不機嫌に叫ぶと、大声で呼ばわる。
「死神騎士リックよ。出てこい!」
「はい、キング」
応じて、赤い鎧に身を包んだ悪の騎士が現れる。
リザース鬼畜王国4将軍の一人、死神騎士リック・アディスンだ。
ヘルメットには、墨痕鮮やかに「悪」の一文字。
部首の下心が一緒なので、注意して見ないと解らない変更だ。
「奴らを殺してしまえ」
「了解しました。キング」
リックが応じて、魔剣パイロードを構える。
「きぃ!」
奇声を発して、どこからとも無くリック配下の赤い死神騎士団が登場する。
「かかれ!」
リックの号令の元、死神騎士団が男達に襲いかかる。
「いくぞ! 変身だ」
男達も応じて、屋根の上から飛び降りる。
「チェーンジ・セージャー!」
その身体が輝き――
「アカセイジャー!」
「アオセイジャー!」
「キセイジャー!」
「ミドセイジャー!」
「ムラセイジャー!」
それぞれ、ローブを取り去り、名乗りの通りの色――赤、青、黄、緑、紫の仮面と同色のびっちりし
たタイツ姿に変身する。
すたっ。
と、軽やかに着地した5人の男は、アカセイジャーを中心にしてポーズを取り、叫ぶ。
「5人揃って、ゴセイジャー!」
途端、何故か場所は採石場に変わり、背後でそれぞれの色の爆発が起きる。
彼らの名前は、その名乗りの通り、ゴセイジャーと言う。
AL戦隊ゴセイジャーが正式名称だ。
エンジェルナイト・レダによって、鬼畜帝王ランスの世界征服、そして闇の帝国建国を予言されたA
L教団法王ムーララルーが、信徒の中から選び出した5人の幹部に自らの聖者パワーを分け与え、誕
生させた正義のヒーローだ。
リーダーのアカセイジャー、コンタオットを中心にして、アオセイジャーのパルオット、キセイジャ
ーのベグトラン、ミドセイジャーのサルペナオット、ムラセイジャーのセコナオットの5人の聖者達で
構成される。
5人の聖者だから、ゴセイジャー。
ベタな名前とか言ってはいけない。
これがゴ●ンジャー以来の、伝統的で正しい正義の味方のネーミング方法なのだから。
とにかく、彼らは世界の平和のため、鬼畜大王ランスを倒すため、日夜戦い続けている。
「きぃ」
ゴセイジャーに襲いかかる死神騎士団。
だが、所詮はやられ役である。
ゴセイジャーに敵う術はなく、あっけなく返り討ちに合う。
「おのれ! リック、お前がかかれ!」
「了解しました。キング」
ランスの命令に従い、リックがゴセイジャーに向かう。
「行くぞ、バイ・ラ・ウェイ!」
襲いかかる赤い剣光。
「ぐわ!」
それぞれ、タイツを切り裂かれ、錐揉み吹き飛ばされて倒れるゴセイジャー。
切り裂かれた瞬間、何故かその場所で小爆発が起こったりする。
「がははははははは。さすがはリック。このまま、とどめを刺せ」
「了解しました。キング」
再び襲いかかるリック。
再び倒れるゴセイジャー。
「駄目だ。強すぎる」
弱音を吐く、キセイジャー。
「弱音を吐くな。キセイジャー。俺達は負けるわけには行かないんだ!」
「そうだ。俺達が負ければ、世界は鬼畜大王の好き放題にされてしまう」
「大丈夫だ。俺達は決して負けない! 俺達には、正義の心がある!」
「愛と、正義と、女神アリスの名の下に!」
残りの4人がキセイジャーを励ます。
「そうだ。俺達は……俺達は、決して負けない!」
あっさり元気を取り戻し、立ち上がるキセイジャー。
「むか〜。臭い芝居をしやがって。リック、とどめだ」
「了解しました。キング」
ランスの命令に従い、リックが迫る。
振り下ろされる、魔剣パイロード。
「させるか! 聖者シネカリソード!」
叫んで取り出した光り輝く剣で、パイロードを受けるアカセイジャー。
ちなみに、シネカリというのは、8ミリなどのフィルムをひっかいて傷を入れ、レザーブレード等を
表現したりする、古式ゆかりのSFX(?)技術のことである。
昔の自主製作映画では必須の技術だったが、最近ではビデオ撮影器機の発達や、コンピューターによ
るCG合成が当たり前になってきているので、見かける機会は少なくなってきているように思う。
と言うか、最近の自主製作映画事情を良く知らない。
「何?」
必殺の一撃を受け止められ、驚きの声を上げるリック。
その隙をついて、距離を取るゴセイジャー。
「行くぞ、聖者バズーカだ」
「おう!」
アカセイジャーの号令に応えて、それぞれ、輪切りにされたバズーカの部品を、どこからとも無く取
り出す。
かちりかちりと組み立て、一人で持てばいいのに、5人並んで保持する。
勿論、照準を付けるのはリーダーのアカセイジャーの役目である。
四角い照準画面の中に映し出されるリックの姿。
狙われているリック、聖者バズーカの砲身共に動いていないのに、画面の中のリックは上下左右に動
き――そして、ついに赤くロックオンされる。
「行くぞ、必殺!」
「必殺!」
「聖者バズーカ!」
最後は5人で唱和して、放たれる必殺の一撃。
ぬいぐるみのように棒立ちになったリックに砲弾は迫る。
命中――爆発。
粉々になったリックの破片が、周囲に散らばる。
「やったぞ」
喜びの声を上げる、ゴセイジャー。
「むっか〜! 良くもやってくれたな!」
逆に、怒りの声を上げるランス。
「だが、まだだ。出よ、地獄博士マリア・カスタードよ」
「はーい」
応えて登場する、地獄博士マリア。
マリアは巨大な筒状の物を構え――
「え〜い! チューリップ13号、巨大化光線砲!」
みょみょみょみょみょ〜ん。
何だか気合いの抜ける音とともに、常識をうち破ってジグザグに蛇行するという不思議な光が、バラ
バラになったリックの破片を照らす。
光を浴びたリックの破片は再び一つに集まり、そして、巨大化した。
「リッ〜ク、リック〜!」
何故かいつの間にか場所を移動して、採石場の稜線の向こう側でリックが叫び、足下の岩を蹴飛ばす。
巨大な、だが質感がいかにも軽そうに見える岩が、ゴセイジャーを襲う。
まるで発泡スチロールのように軽やかに弾んでいるが、問題ない。
いや、命中すれば大ダメージ必須なので、大問題だ。
圧倒的な強さを見せる巨大化リック。
ゴセイジャーは飛ばされる石を逃れることしかできない。
ならば、最初から巨大化すればいいのでは、などという疑問を抱いてはいけない。
おまけに、何故か採石場の向こうからこちら側へはやってこようとせず、際限なく岩を蹴り飛ばして
いる。
こっち来て踏みつぶせよ、お前。
そう言う事も考えてはいけないのだ。
ともあれ、絶体絶命のゴセイジャー。
彼らに、対抗する手段はあるのか?
勿論ある。
「く。ここは、ALロボだ!」
腕の通信機で、本部のAL教団と連絡を取るアカセイジャー。
そして、場面はAL教団地下格納庫に移る。
そこから発進する3機のメカ。
地を走る戦車、空を飛ぶ飛行機、水中を進む潜水艦。
「とう」
場面戻り、その場でジャンプするゴセイジャー。
すると、何故か次の瞬間にはそれぞれのメカのコックピットにいたりする。
彼我の距離を完全に無視する、凄いジャンプ力だ。
アカセイジャーは一人で飛行機に、後はそれぞれ二人ずつだ。
「合体、ALロボ!」
「合体!」
アカセイジャーの号令に唱和する残りの4人。
そして、複雑怪奇な変形を見せて合体、1体のロボットになる3機のメカ。
だが複雑怪奇ではあるが、実際に可能な変形、及び合体だ。
そうでないと超合金に出来ないから、スポンサーの意向で実現不可能な変形・合体は出来ないことに
なっているのだ。
●ッターロボのような変形合体は論外なのだ。
とにかく、ALロボの登場だ。
ちなみに、空と陸はともかく、水中を進んでいた潜水艦が、どうやって内陸部のレッドの街で合体で
きたのか、考えてはいけない。
そう言うものだと思っておくように。
対峙するALロボと巨大リック。
そして、激突。
両者とも、何だか動きがぎこちない。
特にALロボの動きがぎこちなく、リックはそれに合わせているように見えるとしても、それは目の
錯覚だ。
ここは素直に、巨大化のせいで、リックの動きも鈍くなっていると見るべきだろう。
そして――
「行くぞ、必殺剣!」
すらりと、どこからともなく剣を取り出すALロボ。
やっぱり、シネカリソードだ。
「聖者剣、十字切り!」
「ぎゃあああああ」
悲鳴を上げて爆発するリック。
今度こそ、死神騎士リックの最後だ。
「おのれ、覚えてろよ〜!」
捨てぜりふを残して退場するランス。
こうしてレッドの街の平和は守られたのだ。
ありがとう、ゴセイジャー。
ありがとう、ALロボ。
だが、油断してはならない。
鬼畜大王ランスの配下には、まだ、地獄博士マリアを始め、恍惚騎士バレス、青壁騎士コルドバ、眼
鏡騎士エクス、尖り魔女志津香、薄幸忍者かなみ、そして、淫蕩王妃リア、微笑妖女マリスらが残って
いるのだ。
戦え、ゴセイジャー。
世界の平和のために。
(AL戦隊ゴセイジャー第27話 完)
次回予告。
ゴセイジャーのパチ物が現れた。
その名前は、リーザス戦隊ゴニンジャー。
薄幸忍者かなみの率いるゴニンジャーの猛攻に、ゴセイジャーは苦戦する。
次回、「対決、リーザス戦隊ゴニンジャー」
さあ、みんなで、チェーンジ・セージャ!
「この番組は、AL教団と、ご覧のスポンサーの提供で、お送りしました」
……蛇足。
「むっか〜! なんだ、これは!」
魔法ビジョンを前に、ランスが怒りの声を上げる。
「AL教団の信者向け、宣伝放送のようです」
マリスが、常と変わらない微笑を浮かべてランスに答える。
だが、そのこめかみ辺りに、青筋が浮かんでいたりする。
自身を微笑妖女と評されたことが気に入らないのか、それとも、リアをけなされたことが気に入らな
いのかは不明だが、とにかく、表情を変えずに怒っているらしい。
「俺様が、悪の鬼畜大王だと? しかも、やられ役? 絶対に許せん!」
ランスの方は、正直に怒りの表情も顕わである。
しかし、やられ役はともかく、悪の鬼畜大王云々やその行動様式は、オリジナルに忠実に見える。
だが人間、本当のことを言われた方が、頭に来るものである。
「どうなさいますか?」
答えは分かり切っているのだが、マリスが尋ねる。
「勿論、AL教団をぶっ潰してやる!」
「それでは、そのように準備いたします」
これは、リーザス王国軍が、AL教団総本部のある川中島に攻め込む前日の事であった。
(今度こそ、完)
あとがきと言うか、言い訳。
元々はAL教団幹部のそれぞれの仮面の色を調べようと思い、鬼畜王をやっている最中、何となく思いついた物です。
構想数分、執筆矢張り数十分という、ものすごくお手軽な作品です。
まあ、そんなもんですので、ぬるい目で見て下さい。
ちなみに、主題歌は、知る人が知ると言う右系の戦隊もの(?)の主題歌の替え歌です。
take4は半端にしか知りません。
誰か、教えてくれたら嬉しいな。
take4でした。
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