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プログラムASZ

突然のセリオの暴走!セリオのシステム一体なにが?
プログラム『ASZ』とは?


セリオは構えから体ごと刀を突き出すように突進して来た。
オレは瞬間で反応して、右にかわした。
綾香は逆方向にかわしたようだ。
ガシャーン!!
セリオはその勢いのままオレ達の後にあった。器材に刃(やいば)を突き刺した。
「小手調べとはいえ、壱式をかわしましたか」
オレは綾香の方にいって、小声で話し掛けた。
「なあ、取りあえず、逃げるぞ」
「…賛成ね」
やはり、綾香も今のセリオに尋常でないものを感じているようで、話が早い。
「講堂の入り口は鍵はかかるのか?」
逃げ道の経路は入り口しかなく、その状態を確認するために問い掛ける。
「外からしか開かないようになってる」
綾香の返事を聞き、オレ達は少しづづ後ろに下がりながら、タイミングを計った。
こちらに、向き直ったセリオが再度、構えをとった。
「次は、はずしません」
「今よ!」
オレと綾香は、走り出した。
「逃がしません」
セリオが追ってくる。
綾香が先に外に飛び出た。
オレもそれに続く。
間一髪。
ガラッ、ビシャ!(ドア)
ガシャ!(鍵)
ガシャーーーーン!!(激突)
ちょうど、ドアを閉め、鍵を掛けたとたんに、激突音が響き、綾香がすぐに鍵を掛ける。
「助かった…」
ほっと、オレは一息ついた。
「一体、セリオはどうなったんだ?」
「私に聞いても、わからないわよ」
「説明しよう!」
と言って、突然見知ぬおっさんが現れた。
ん…、どこかで見たような気が…。
「長瀬主任? どうしてここに?」
綾香の知り合いのようだが、そのおっさんはのんびりした口調で答えた。
「綾香お嬢様が、セリオを使用すると聞いて様子を見に来たんです」
「綾香、この人誰だ?」
綾香に問い掛けるが、
「来栖川電工中央研究所 第七研究開発室HM開発課主任の長瀬です」
とかってに自己紹介をした。
その長瀬と名乗った男は、オレ達の反応を気にもせず説明を始めた。
「どうやら、今のセリオは、サテライトサービスよりダウンロードしてきたデータがメインプログラムに接触した時点で、自分の中のブラックボックス内に眠っていたプログラム『ASZ』が起動し、そのプログラム『ASZ』がメインプログラムが侵蝕した状態にある。まあ、簡単に言うなら『暴走』しているということです」
なんてプログラムだ!
そもそも、なんでセリオにこんなプログラムが…?
オレは、その疑問を確認した。
「一体誰が、セリオにこんなプログラムを組み込んだんだ?」
「そーね、来栖川のプロテクトを破ってこんな事が出来る人間は限られているわ。セリオのシステムやサテライトサービスにも精通していなければ無理でしょうね」
長瀬主任は照れたように笑っていた。
「いやぁ、そんなにほめてもらっても、何も出ないですよ」
「あんたかいっ!」
っとオレと綾香はツッコミをいれた。
「だいたい、なんだそののプログラム『ASZ』とかいうのは?」
「はっはっはっ、悪・即・斬(Aku・Soku・Zan)という意味ですよ」
あきれたが、質問を続けた。
「で、そのプログラムは起動するとどうなるんだ?」
「えーと、セリオの認識センサーで、”悪”と認めたものは問答無用で斬ります!」
「悪? どんな基準で選んでるんだ?」
「はっはっはっ、プログラムはまだ未完成なんですよ。今のままだと、すべての人間が対象になりますね」
「無責任に笑い飛ばすな!」
と、その時。
ガシャーン!
ガシャーーン!
ガシャーーーン!
講堂の入り口からいやな音が、どうやらセリオがドアを壊そうとしているらしい。
「浩之、すぐ出てくるわよ」
「よし、綾香、オレに考えがある。これならセリオを倒せる!」
オレは自信を持った声で言った
「いいか、綾香!」
「うん…」
綾香は、真剣な表情でオレの方を見た。
「まず、”獣の力”を発動させて、ジャンプして飛び蹴り、着地後小足払い、目押しでしゃがみアッパーにつないで、キャンセル”決裂烈破”、ヒット五段目スーパーキャンセル”真の鬼”。このコンボならどんな敵だろうと…」
「出来るわけないでしょ!」
ううっ! 場を和ませようとしたギャグをつっこまれてしまった。
綾香はオレを無視して長瀬某のほうにたずねかけた。
「長瀬主任。セリオを止める方法はないの?」
おおっ! 作った本人がいるじゃねーか。
「まあ、メインスイッチを止めるぐらいですかね」
相変わらずのんびりした声で答えが返ってくる。
「その、メインスイッチの場所は?」
「背中の首のあたりにあります」
背中か?
今のセリオの突進をかわして背後にまわるのは、かなりキツイ。
誰かがオトリにでもならないと…。
おっさんは…、無理だろうな。
綾香は…、女にこんなことをさせるわけにはいかねーよな。
あとは…、しょーがねーなー。
オレは講堂の脇にある花壇に刺さっている、木の棒を引っこ抜いた。
うん、長さもちょうどいい。
「綾香、オレがセリオの突進を受け止めるから、後にまわって、スイッチを切ってくれ」
「大丈夫なの?」
綾香が心配そうに聞いてくる。
「止めるだけならなんとかなるだろ。本気なったオレは怖いって知ってるだろ!」
「今一つ、信用できないのよね」
「あ…、あのなぁ…」
「ふふ、ごめん。そうだったね」
綾香はオレの目を見て、
「本気になった浩之が怖いって、私が一番よく知ってるもの」
頼りにしてるわよという感じで微笑んだ。
その瞬間、
ガシャーーン!!
大きな音が響いた。セリオがドアをぶち破ったらしい。
「来るぞ!」
ドアを破ったセリオは、こちらを見て、再び構えを取る。
「……」
「……」
「……」
「次は、外しません」
セリオが突進してきた。
オレは、その動きをよく見て…。
ズルッ!
ふんばろうとしていた、足がすべる。
しまった…。
「浩之!」
綾香の声が聞こえる。その時…、
「戦後のストリートファイトで、ならした拳でございます」
突然出てきた人影が、セリオを横から弾き飛ばした。
「あんた…、じーさん!」
そこにたっていたのは来栖川家の羊のメリー、ではなく、執事のじーさんだった。
「ふぉふぉふぉ、藤田様、私はお嬢様方をいついかなるときでもお守りしております。それと、私の名前はセバスチャンでございます」
ってことは、もしかして、
やっぱり! 校門の方から先輩が走ってくる。
「なんで、先輩がここに…?」
問い掛けると、
「………」
えっ! オレの事を占ったら、危険が迫っているとでたからですって!
「ううっ! せんぱい。その気持ちだけで充分だよ」
オレはそう答えると、先輩は恥ずかしげにうつむいた。
と、オレが先輩と雰囲気を出している間に、
「がはぁーーーー!!」
あ、じーさんがやられてる。
セリオの突きがじーさんの肩口にクリーンヒット!
あれは、病院へ直行だな。これから少しの間、静かになっていいや。
「先輩は、下がっててくれ」
「……」
こくん。
オレは、先輩が後ろに下がるのを確認すると、木の棒を構えてセリオに向き直った。
「さあ来い! 来栖川姉妹を守る時のオレの力は無限大だぜ!」



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