NHKのオーディション

美代ちゃんがNHKのオーディションに何回も落ちたというのは本当で、よく美代ちゃんの歌唱力を揶揄するエピソードとして引き合いに出されますが、今日語られるニュアンスと当時のそれとはビミョーに違っている気がします。

そのオーディションは月に1回しかなく、美代ちゃんは、デビュー年の6月、7月、8月に３回連続で落ち、9月はスケジュール都合でパス、4回目の10月に合格されました。もっとも当時は、NHKのいわばハクのようなものがあり、数回落ちるのは普通のことで、結構意外な人が何回ものチャレンジでやっと合格されたりしています。

それまで、NHKにオーディションがあるということ自体があまり知られてはおらず、どうして美代ちゃんはあんなに人気があるのにNHKに出ないのか----実は、NHKには新人歌手のオーディションがあり、美代ちゃんはまだそれに合格していない----ということから話題が広まり、さらに、早く合格しないとNHKへの出演実績が積めずに紅白歌合戦にも出場できなくなってしまう---まさかあんな超人気歌手が----という空気の中で、NHKの番組(お笑いオンステージ)への出演収録が行われたことがリークしてしまい、話題に拍車がかけられ、もし今度落ちたら収録済みのその番組はどうなってしまうのかと----もっとも歌のコーナーではなく、劇中劇の中で歌を歌うという苦しいながらも対策はしてあったのですが。

その日、1973年(昭和48年)10月1日は、異例の報道陣受け入れのもと4回目のオーディションが行われ、あたかも紅白出場に間に合わせるかのように合格となり、終了後には記者会見まで開かれる事態になりました。
番組は、10月7日に無事放送されましたが、結局、美代ちゃんが紅白出場に選ばれることはありませんでした。

騒動が収まった頃、歌唱力のテストで落ちたのは初回だけで、あとの2回はそれにはパスされていたということが、再度、雑誌の記事になっていました。

・・・これに間違いないですよね、ネッ、美代ちゃん。