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時間ですよ

第66回
転勤した一郎夫婦が予想外に早く赴任先の徳島から戻ってくることになり、一郎が別居を考えていることも知らず、嬉しさが隠せないまつ。長年勤めてくれたサッちゃんは美容院に移ることになり松の湯を出ていく。最近、客足の減った感じの松の湯にとっては、口には出せないものの経済的には助かる。ところが、身寄りを亡くした子の面倒を見てくれという話が舞い込んできて、まつと祥造はあわてる。考える暇もないうち、ミヨ子というその子が松の湯を訪ねてくる。


第67回
東京に戻った一郎だったが、実はマンションに住み別居すむことを考えている。それが元々の約束だったと言うのだ。嫁の芙美を気遣い、まつは2階の部屋にも台所を造ったらと提案する。芙美は大喜びするが一郎は同居に引き留めるための策略だと決めつけ、まつと大げんか。


第68回
家庭風呂が急速に普及し、お江戸文化の風呂屋もこのところ客足が落ちている。まつにはそれが頭痛の種で、食費を切り詰めることにした。かといって健たち、人さまの子の食事を落とすことはできず、寝酒をやめたり自分たちが我慢する。不憫に思った健は、折から娘のさゆりがぐれて店の手伝いをしなくなった近所のだるま食堂で、毎朝アルバイトをして一食浮かせることを思いついた。だが寝不足がたたり失敗の連続。


第69回
最近の祥造は、まつのいうことなんか聞いてくれないし、約束だって守ってくれない。祥造のポケットから一通の手紙が。以前にまつが投函を頼んだものだった。夫に対して不信感を募らせるまつ。そこへ隣に下宿しているマリが相談があるとやってきた。


第70回
近くの質屋の主人で男ヤモメの釜田は、健を誘ってよからぬ遊びに行こうと。子持ちだけに留守を預かってくれる人がほしい。ひとり暮らしの浜さんは休みをもらって釜田の子供の世話を引き受け、貯金まではたいて子供たちの面倒を見る。釜田の行き先が、競馬とストリップだと知っているまつには、孤独な浜さんがいじらしく、つくづく亭主のいる幸せをかみしめる。


第71回
だるま食堂の平さんが破れたシャツで現れ、いくらヤモメでもかわいそうとまつは再婚相手を探してやろうと張りきりだす。祥造にそれとなくその気があるか探らせてみると、なんと、小料理屋おかめの美人内儀・お涼さんに熱をあげていることがわかる。どうみても不似合いな平さんのために、まつはお涼に掛け合いに行く。だが、お涼には結婚できぬわけがあった。まつはお涼の女心にほだされる。


第72回
最近、どうも歳のせいか祥造は肩が凝って仕方がない。ミヨ子に按摩をしてもらい、そのやさしさに父性愛をくすぐられた祥造。そんな折、一郎が友人の結婚式にミヨ子の手伝いを頼んできた。按摩のお礼だと託けて祥造は、ミヨ子の晴れ姿にと洋服を買い靴まで揃えてやる。ミヨ子も大喜び。ところが、結婚式の手伝いとは、マンションの掃除だというこがわかる。


第73回
ある日、初老の見かけない男が松の湯に来た。どこかおずおずしてまるで女のよう。それもそのはず、人気女形で鳴らした元舞台役者だった。身の上話を聞いてみると、いまだに言葉や身振りが女っぽく、息子夫婦に近所に恥ずかしいと嫌がれているという。サラリーマンの一郎も、親は大切だが、風呂屋という職業を嫌っている。 森繁久彌さんがゲスト出演。


第74回
女番長気どりのさゆりが、松の湯で急に吐き気がして表に飛び出していく。客たちは妊娠かねぇと。驚いたのは父親の平さんで、本当に妊娠かどうか、まつに確かめてほしいと頼む。結局、コーヒーの飲みすぎだとわかるが、憤慨したさゆりはうわさを立てた客の家に殴りこみに行く。娘のことで平さんは頭が痛い。


第75回
毎日松の湯に通い詰め、まつをジーッと見つめる男がいた。声をかけるわけでもなく、ただ見つめているだけである。近くの工事現場で監督をしている男であった。まつは、まんざら悪い気はしない。何があるわけではないが、女として男の人から見つめられるのはいい気持ち。祥造は落ち着かず、憂さ晴らしに飲みに出かけるが、余計に冷やかされる始末。佐藤英夫さんがゲスト出演。


第76回
まつや祥造の視線を遮ったり、朝食も取らずに出勤したり、挙動不審な一郎。芙美にもその理由がわからない。運送店から電話がかかってきたりと、まつと祥造は一郎が別居するものだと思い込むが、実は部長が海外出張中の間、一郎は自宅の留守を頼まれていたのだ。


第77回
健が突然改名して人生も変えると言い出した。そんな折、寛次が突然に松の湯を訪れてきた。寛次は元々料亭の主人で祥造の幼馴染みだったが、20年前に恋に落ち妻子を捨て出奔していたのだ。娘に会うため帰京してきたと知り、まつは仲介役を買って出る。松村達雄さんがゲスト出演。


第78回
チンピラヤクザの浅太郎にも親があり、10年ぶりに再会するとあってソワソワ。親孝行のまねがしたいと祥造とまつに頼み込み、一日だけ松の湯の従業員にしてもらう。まつは浅太郎のために、芙美とごちそうまで用意してやる。浅太郎の父・勇吉が上京し、浅太郎は従業員だと張り切るのだが、父親の目はごまかしきれるものではない。伴淳三郎さんがゲスト出演。


第79回
絵を描くのが好きだった祥造は、店のマッチの絵を描いてくれと頼まれ大張りきり。代金が入ったら、まつを旅行に連れていく、健たちにもプレゼントをかってやるという。商売そっちのけで夢中になり、 従業員やお客から皮肉を言われるが、まつは、男が夢中なれるのは美しいものだと惚れなおす。


第80回
祥造は酔っ払ったいたとはいえ、浅太郎に殴られあざをこしらえた。世間の口はうるさいが、せっかく正業につき働く意欲を沸かす浅太郎を、変なうわさから首にさせてはかわいそうだと黙っていた。まつは小料理屋のおかめに何かあると睨む。案の定、おかめの常連客で元やくざの風間が自分が犯人だと名乗り出る。おかめの女将・お涼をめぐって恋のさや当てがあったというのだ。


第81回
幼いころから母の愛に飢えている浅太郎は、一郎がまつに甘えている姿をみるとたまらなく腹が立ってくる。まつに一郎が浮気して子供までできた女がいると注進してきた。確かに、一郎は出勤前、毎朝あるアパートの前で子供をあやしている。半信半疑でオロオロするまつの姿に、浅太郎はニンマリ。


第82回
まつがその昔、見合いをしそこなった男が、土地成金で億万長者になっていると新聞を賑わせていた。現在のまつはしがない風呂屋のおかみさん。しかし平凡だがけっこう幸せな毎日。祥造は不動産屋に頼み松の湯の値踏みをする。売る気はないとわかってはいても、まつには情けない。浜さんは浜さんで、わざと嫌われることをしては皆の注目を浴びようとする。まつは浜さんに女の寂しさを見る。


第83回
週休2日が叫ばれている最近、松の湯の従業員は世間の風とは関係なく毎日12時間労働。しかも、サラリーマンの一郎を夫に持つ芙美は、夫の時間にもあわせなけれぱならないため、睡眠時間はたったの4、5時間。フラフラの芙美のようすに、周囲の者はすっかり妊娠か?と喜ぶ。芙美の妊娠騒動から労働問題に発展してしまう。


第84回
老人クラブの慰安会に、お菓子屋の徳一は土産のお菓子を、食堂の平さんは弁当を出すというので、祥造とまつはふろをわかして、慰安会場に松の湯を提供することにした。抽選で、まつが洋行帰りのキザな常明寺老人とタンゴを踊ることになる。若宮大祐さんがゲスト出演。

第85回
夜中の松の湯に音楽が流れ、風呂場でダンスをする一郎と芙美の姿。一郎は、外人が来るクラブに招待され、英語ができる芙美と一緒に行こうとダンスの練習をしていたのだ。翌日、近所の小料理屋おかめのお涼を探し、一見してやくざとわかる3人の男が松の湯に現れた。お涼は、ある網元の娘で理由があって家を出ていた。ほおってはおけず、お涼引き留め騒ぎがおこる。竜崎勝さんがゲスト出演。


第86回
まつの甥・信介がやって来た。その日、隣家のマリが芙美の仮縫いに来ていた。信介とマリは短時間のうちに意気投合。信介はマリに一目惚れし、マリも信介のおとこらしくさっばりした態度に好感を持った。しかし、信介は仕事の都合で5年間は外国暮らし。「待っていて」とは言えず、信介はついに何も告白せずに旅立つしかなかった。大門正明さんがゲスト出演。

第87回
あかめのお涼が倒れ、風間のはからいで入院。風間は献身的に看病し、二人の過去を知らない常連客たちは色恋沙汰と噂する。ところが、お涼は単なる貧血ではなく白血病だという。あと何年の命か、医者にもわからない。まつと祥造と風間は、それが精一杯の思いやりと、お涼に病名をひたかくす。何もしてやれないまつは、人間の弱さを感じた。


第88回
母を亡くしたミヨ子にとって、おかみさんのまつが本当のおかあさんのような気がする。ミヨ子は、まつにお祭りの寄付金を届けてほしいと頼まれる。ところが、お祭りに呑まれてしまい、そのお金を落としてしまった。事情を聞いた健は、ミヨ子に口止めをし、浜さんとお金を集める。だが、ミヨ子にはおかみさんに嘘をつくのは心苦しい。やはり本当のことを言おうと、まつに打ち明ける。


第89回
チンピラの浅太郎とスケバンもどきのさゆりは、おたがいにお天道さまをまっすぐおがめない気持ちからか、まじめに心好きになればなるほど世間の目が気になる。デートもままならないふたりは、健に泣きついた。困った健は松の湯の脱衣場を提供したのだが。さゆりの父親・平さんは夜どこともなく出かけるさゆりが心配でならない。


第90回
浜さんに結婚相談所から手紙が届いた。健が勝手に申し込んだとわかりプライドを傷つけられたと浜さんは大むくれ。それでもまつに宥められて結婚相談所へ送り出された浜さんだったが、帰ってくるとなんと上機嫌。そのころから、気の弱そうな男が、松の湯に現れどうしても浜さんに会いたいという。実は、この男の兄が結婚詐欺を企んでいるのだ。大和田伸也さんがゲスト出演。


第91回
健と浜さんは、考え方や食べ物の好みまでよく似ている。仲のいいときは歯車がうまくあうが、お互いの弱みを知っているだけにけんかになると収拾がつかない。一緒になって松の湯をやめると言い出した。まつと祥造はなだめるが、二人の決心は固い。折しも、廃業することになった玉の湯の主人があいさつに訪れ、帰り際、おたくは従業員にめぐまれうらやましいと言う。


第92回
子供あつかいされるのが不満なミヨ子だったが、雑誌で知り合ったペンパルから手紙が届き、電話もかかってきて有頂天になる。まつは賛成するが祥造は大反対。そこへ相手の男が訪ねてきた。最初は賛成していたまつだが、男の非常識な態度にあきれ、ミヨ子が留守なのをいいことに追い返してしまう。がっかりしたミヨ子はつい、おかみさんの子供でもないのに勝手なことしないでと、きつく言ってしまう。


第93回
健は浅太郎とさゆりが仲が良いのがうらやましい。健は、まつと祥造に甘えるが、いつになく二人は邪険。というのもおかめのお涼の病気が悪化し再び入院したのだ。しかも、お涼の生命はあと何日もつかわからないらしい。まつは芙美が妊娠したと知らされた時、うれしさと同時に何か悲しみを覚えた。同じ女なのに・・・まつの心は複雑だった。


第94回
思い残すことがないなんて嘘!死にたくない!生きて、もっと生きて、あなたと・・・お涼は風間に手を握られ、涙を浮かべて笑いながら息を引き取った。ひとりで死んでも、お涼には風間という愛した人がいた。あれだけ信じて死ねたら決してひとりなんかじゃない。まつは、祥造と通夜の酒をしながらつぶやいた。

最終回
チンビラから足を洗った浅太郎がさゆりと結婚することになり、まつは親代わりになってやる。風間はお涼の遺骨を親元へ届けついでに東京を発つ。芙美はお風呂屋を継ぎたいと思っているが一郎にはその気はない。祥造とまつは、しみじみ一郎が定年になるまであと30年風呂屋を続けようと話し合う。