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雑誌や詩集、レコードのライナーなどに美代ちゃんの直筆文字がよく載っていました。

もう何年も前のことですが、40路のいい年をして、女性のようなかわいい見覚えのある字を書くオジさんに出会ったことがあります。怪訝な顔をしたのを察せられたのか、自ら「浅田美代子のファンだったもので−−−」と。アゴが外れそうになりました。
また、かつて、美代ちゃんの字体を真似て、小学校の書き方帳みたいな50音表を作っていた、なんともマニアックな友人がいました。字を真似る−−−少しでも美代ちゃんに近づきたいという素朴な気持ちの表れだったのかもしれません。

美代ちゃんは、いわゆる丸文字を書かれていたような錯覚がありますが、そんなことはありません。もちろん年頃の女の子らしいてらいはありますが、良く見ると、シャープなとても大人っぽい感じのする部分もあります。むしろまっすぐな部分に意図的にまあるい部分を付け加えたような感じです。字を見るだけも、けっして美代ちゃんがただのカワイコちゃんでなかったのがわかります。

いちばんの特徴は、そのまあるい部分が、文章のメリハリ、大きい字と小さい字が混在するような視覚効果を持っていたこと。文章全体が、なにか特別にデザインされたイラストのようでもありました。しっかりとした意思とやさしさを感じる字、そして絵画的なセンスを感じる字を書かれていました。